安カ川 大樹
Trios
2010年8月11日  ¥2.500.-  DMCD-08

1 . Complex ( Daiki Yasukagawa )
2 . Voyage ( Daiki Yasukagawa )
3 . The Birthday Song ( Daiki Yasukagawa )
4 . When I Fall In Love
5 . Gift From Angel ( Daiki Yasukagawa )
6 . Smoke Gets In Your Eyes
7 . F.E.J.E. ( Daiki Yasukagawa )
8 . Someday My Prince Will Come
9 . All The Things You Are

10 . Tears ( Daiki Yasukagawa )
11 . My Dear ( Daiki Yasukagawa )

 

ダイキムジカによる第八弾は安ヵ川大樹名義によるピアノ・トリオ作品だ。
今までダイキムジカ作品に参加した5人のピアニストと4人のドラマーによる5つのトリオ作品ということになる。それぞれの曲のパーソネルは、別項目のメンバー表を参照していただくとして、一発目は堀秀彰をフィーチャーした元気で明るく、アルバムの導入としては、100点としても良いキャッチーなものだ。堀は近年メキメキと頭角を現し、随所で出現。数年前忙しく次のステージへと駆け回る堀を横浜ジャズ・プロムナードで見かけた。カラフルな眼鏡が印象的なナイスガイで、今もハードバップを演奏したら天下一品とされるWhat's Upのピアニストとしても活動中だ。
2曲目はグッと大人しいサウンド。安ヵ川のオリジナルでVoyage、キレイな曲だ。聴く人は既にこの2曲でハイテンションとスローバラードを体感したことになり、その後の展開も気になってしょうがない境地となるだろう。
3曲目の「The Birthday Song」も安ヵ川のオリジナルだ。誰の誕生日を祝う曲かは知らないが軽快な曲だ。ピアノは高田ひろ子。高田さんには、ボクの結婚式で弾いてもらった経験があり頭が上がらない。ヴォーカルの澄淳子さんとなんとスマップの「らいおんハート」をやっていただいた。家内のリクエストを受け入れてくれたのだった。
また2001911日ボクは横浜のドルフィーへライブを観にいっている。高田ひろ子のトリオで安ヵ川がベースだった。あの頃高田ひろ子のトリオと言えば安ヵ川であって、このダイキムジカの記念すべき第一弾作品が高田ひろ子トリオのものというのが、なんとなく理解できる気がした。そのライブを堪能してから、野毛の、楊貴妃もびっくりという謳い文句のラーメン屋でビールを飲んでいたら、映画以上の凄まじいビル破壊シーンがテレビから映し出されており、生涯忘れられない夜ともなった。

5曲目は佐藤 浩一をフィーチャー。横浜市出身。18歳で、洗足学園大学、2005年浅草ジャズコンテストのバンド部門で「宮里陽太Quartet」のメンバーとしてグランプリを受賞。その後渡米し、バークリー音楽大学に留学。ピアノ奏法をKevin Hays氏に師事。現在は、自己のバンド「Bungalow」や自己のトリオをはじめ、Routine Jazz Sextethip chick(市原ひかりtp、倉内達矢g、川内啓史b、小笠原拓海ds)、大隅寿男(ds)グループ、布川俊樹(g)カルテット、安ヵ川大樹(b)グループ、橋爪亮督(ts)グループなどで活動中。「Smoke Gets In Your Eyes」は、安ヵ川のベースに誘導される形で、この曲が持つ本来の切なさみたいなものが良く出ている曲だ。

7曲目の「F.E.J.E」も安ヵ川のオリジナル。何の略なのかと思う。質問すれば教えてもくれるだろうけど、想像するのも楽しい。かつてビリー・ストレイホーンの曲に「UMMG」というのがあった。誰だったかが入院していた「Upper Manhattan Medical Group」という病院の略だったが、この曲を聴きながら、「なんだろうな」と考えている訳だ(実際は安ヵ川がリーダーのFar East Jazz Ensembleの略です)。ピアノは、古谷淳、昨年ダイキムジカからピアノトリオ作品をリリースしている。清廉なこざっぱり感が演奏にも出ていて好感を持って受け入れられた作品だった。

最後の3曲は、村山浩。1995 横浜ジャズ・プロムナード・コンペティションにて最優秀賞受賞。2005 フランス・パリに移住し、パリ及び欧州各地で演奏、日仏文化交流の舞台にて演奏を行う、などの活動。ダイキムジカの第二弾として、『Ballad of Lyrics』を昨年7月にリリースしている。尚このPhilippe Soirat(ds)は、ピアノ・トリオのレア盤として知られる『Laurent Fickelson / Secret Mood』にも参加している、と言ったら「おお、そうか」と頷くピアノ通の人もいるだろう。モダン・ジャズ黄金期を彷彿とさせる「All The Things You Are」は聴きもの。また安ヵ川のオリジナル「Tears」は、弓弾きのベースによるメロディラインを基調にしたもの悲しい曲だ。これは安ヵ川の代表曲として、彼の作曲力を知らしめるものとして聴かせてもらった。最後「My Dear」は、最終曲らしく、全てのもの、人に感謝する気持ちが、安ヵ川の真摯なもので一杯なような気がしてならない。これからもジャズ・ベースの第一人者としての道を歩いてもらいたい。(山本隆)